Romancer デジタル時代の出版ツール 7月1日で3年を経過・新企画 連載はじまる
株式会社ボイジャー(本社:東京都渋谷区、代表取締役:鎌田純子、以下:ボイジャー)が開発した、Romancer(ロマンサー)出版ツールは、2017年7月1日に3年を経過します。デジタル出版時代に突入するこの状況の中で、新たな出版にチャレンジする意欲的な試みをRomancerは精一杯支援してきました。本日現在、会員は4,000人、ここで製作されたデジタル出版は20,000点を超えました。
時代を生きた私たちの言葉は、日本人の財産として人々に共有されていかねばなりません。Romancerには、池澤夏樹、片岡義男、栗本薫(中島梓)という著名な作家の方々の作品参加もいただき、大学教授やさまざまな分野のエキスパートからも制作への意欲を注いでいただきました。この傾向をさらに力強く世の中に訴えていくために、ボイジャーはデジタル発の企画を投入いたします。Romancer3周年の7月1日から、連載の形をとり、当面100回を予定します。
題して、それは「ない」からはじまった——『阿久悠と歌謡曲の時代』
https://romancer.voyager.co.jp/cafe (*7月1日よりオープン)
執筆を担当するのは、佐藤 剛です。(*下記著者紹介をご参照)
デジタル出版は技術的な知識を要求します。多くの人がデジタル出版の入口で立ち止まります。そのために、容易なもの、思いつき、短い言葉、感情おもむくままネット上に言葉が流れる傾向が風俗のように定着していきました。困難な時代を生き、数々の誇るべき業績を残してきた戦後日本の経験と教訓は、ごく限られた形でしか出版へと繋がりませんでした。本来の主役である前線に生きた人々の証言は必ずしも残されたとは言い難いです。これら取り残された数多くの出版に向かい合う手段としてデジタルがあるとボイジャーは位置付けてまいりました。Romancerはその一つの試みでした。
デジタル出版は漫画を中心にここへきて急速に成長し、大手出版社の続いてきたマイナス成長を逆転させる役割を果たしました。これによって、もう誰もデジタル出版の将来を疑う人はいなくなりました。
この時にこそボイジャーは、25年前に飛び込んでいったデジタル出版のことを思い起こします。何もない地平からトライした時代の飢餓感を、そして何の希望を私たちはデジタル出版に見ようとしてきたのかを、豊かな時代になりながら、心の欠乏を感じてきた心情を掬いとろうとする小さなメディアの反抗を。
“それは「ない」からはじまった”という、作詞家・阿久悠の仕事を振り返りたいとおもいます。デジタル出版からスタートしていくであろう多くの新しい“作家”のみなさんへ、Romancerからの連載が勇気を与える力となることを期待しています。
■著者紹介
佐藤 剛(さとう・ごう):
1952年、岩手県生まれ。甲斐バンドのプロダクション「ビートニク」代表、音楽制作会社「ファイブ・ディー」代表を経て、THE BOOMを筆頭に数々のアーティストをプロデュース。由紀さおりのアルバム『1969』でシニア・プロデューサー他。著書に『上を向いて歩こう』(岩波書店)、『「黄昏のビギン」の物語: 奇跡のジャパニーズ・スタンダードはいかにして生まれたか』(小学館)、『美輪明宏と「ヨイトマケの唄」 天才たちはいかにして出会ったのか』(文藝春秋)などがある。